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支払手形をなくす、借入金を短期から長期にシフトする
B社は、建築金物・工具などの卸販売を行っている会社です。
B社長は、先代が亡くなったあとに、社長に就任しましたが、一般社員からいきなり社長になったので、就任当初はまだ社員の信頼はそれほど厚くありませんでした。
そこで、社長は、ひとりで完結する仕事を勉強したいという理由から経営塾などで猛勉強したそうです。
B社長は、社長になって最も分からなかったことがお金に関することでした。
経理の担当者に質問すれば数字を教えてくれますが、その数字の意味が分からず、良い貸借対照表と悪い貸借対照表はどこが違うのか、借入金はいくらぐらいが妥当なのか、手元に流動性が高い現預金はいくらあればいいのか、今の会社の財務状況が客観的に見てどこがダメなのか、さっぱり分からなかったそうです。
B社長がとくに学びたかったのは、資金繰り(貸借対照表ベースの経営)です。
貸借対照表は、従業員の協力がなくても、社長ひとりで変えることができます。
貸借対照表は、ほぼ100%、社長の意思で決められると言っても過言ではありません。
社長はB/Sの勘定科目の取り方を変えることにより在庫を減らす、支払手形をやめる、借入金は短期から長期にするなどして、
「負債の部は、より下の勘定科目に」
「資産の部は、より上の勘定科目に」 数字をシフトしました。
在庫は一斉に処分し、8億円分あった在庫を4億円分に減らしました。
在庫を半分にしたことによって、利息負担が減りました。
支払手形もピーク時は5億円あったものが、5千万円まで減らすことができました。
銀行から借入するときは、金利よりも期間を優先する
B社長はその後さらに支払手形を減らすために、銀行の担当者に、「会社を改善するために、短期借入金を長期に変更してください」とお願いしました。
結果として、すべての取引銀行から理解を得ることができ、借入金を長期資金にシフトし、資金繰りに余裕を持つことができました。
銀行側も「会社を改善するために」という姿勢を評価してくれたのでしょう。
ちなみに、銀行側からすると、短期資金から長期資金への借り換えは自己査定上の条件変更にあたり、自己査定抽出先になってしまうため、手間を考えると本来は短期借入金が返せないからしょうがなく長期資金に借り換える以外はあまりやりたがらないという内情があります。
しかし、B社の今後の業績見込みによほど確信をもって支援してくれたのだと思います。
支払手形が減って長期借入金が増えた結果、格付けが良くなりました。
現在のB社の借入れのポイントは、金利を低くすることよりも、期間を長くすることにしています。
格付けが良くなれば、個人保証を外したり、長期借入れも5年ではなく、それ以上の期間にするなど、有利な条件で融資受けることができます。
B社は、現在、短期借入れはありません。
現預金は、月商の6カ月分はあるので、これだけあれば、いきなり会社が潰れることはありません。
また、B社長は「借入金よりも1円でも多く現預金を保有する」ことを目標にしているため、実質無借金経営をしています。
また、銀行の決算期に合わせて、会社の決算期を3月から2月に変更しました。
つまり、銀行にとっては期末、B社にとっては期首になります。
決算時期に少しでも収益をあげたい銀行は、融資に積極的になります。
そうなると、B社は、期首の3月には、1年間の資金調達を完了することができ、その後は1年間資金繰りの心配をする必要がなくなります。
どの銀行も決算は3月で横並びなので、どこか1つの銀行が希望する条件で融資をしてくれると、あとは他の銀行もその条件で融資しなければならなくなります。
B社長は年数をかけて、貸借対照表の勘定科目の数字をシフトし(資産は上の勘定科目へ、負債は下の勘定科目へ)、現在では、銀行から厚い信頼を得ています。
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きょうもここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
あなたの不動産投資事業が成功することをお祈りしております。
トランクルーム大家より。