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役員賞与は損金とはみなされない
法人で不動産投資すると税金のコントロールが個人経営の場合よりもしやすくなります。特にトランクルーム経営では節税の範囲が大きいので、ますますコントロールしやすくなります。
しかし、節税という観点からはやってはいけないことがあります。それは、役員賞与の支給です。
役員報酬の支給はよいのです。
では、役員賞与の支給はなぜ節税の観点ではやってはいけないことなのでしょうか?
役員賞与は経費として扱うことができないから節税の面では大きな損失!
会社が大きな利益を計上すると、 その利益処分という目的もあって役員賞与が支給されることがあります。
役員賞与の支給は、全く問題があるものではありません。
しかし、もしタックスメリットを享受したいのであれば、役員賞与の支給はおすすめできません。
節税をしたいと思っているのに、役員賞与を支給しているのであれば、これは経営者としての ミスともいえます。
役員賞与は、役員報酬と異なり、法人税法上、損金に算入することができません。
つまり、役員賞与として支払われた金額は経費とはみなされません。
役員報酬として受け取れば、課税対象とならない金額を、役員賞与として受け取ることで自ら課税対象としてしまうことになります。
例えば、仮に役員賞与を800万円支払って、実行税率が55%とすると法人税などが440万円も発生することになります。
これは、役員報酬であれば支払わなくてもよい税金です。
予算や翌期の計画をしっかりと立てずに大体で役員報酬を決めていると、こうした事態に陥いることがあります。
よって 、新年度が始まる前には、必ず翌期の売上予想、原価予想などを綿密に計算し、利益を想定して、役員報酬の水準を決定するようにすることが大切です。
もちろん予定や計画は実行する中で変わっていくのは当然で、計画どおりにはいきません。
そうした場合は、期中でも必要に応じて役員報酬の改定を行うことができます。
期中の役員報酬の改定はできないと思っている方も多いと思いますが、そんなことはありません。
臨時株主総会を開いて役員報酬を増額する
前述のとおり、予想以上に利益が出そうな場合は、期中でも必要に応じて役員 酬を改定、増額することがタックスメリットを享受するうえでのポイントになります。
当初は、会社の事業予想を基に少なめに役員報酬を設定していたものの、今後の業績向上が明らかであれば、至急、臨時株主総会を開催したほうがいいでしょう。
予想を上回る会社の業績向上は、社員の努力はもちろんですが、社長の力によるところも大きいので、その場合は、自身の役員報酬を増額する根拠は明らかとなります。
株主総会において株主に役員報酬増額決議を承認してもらうことで、その後の役員報酬を増額することが可能になります。
ただし、むやみに株主総会を聞き、役員報酬を増額すればいいというわけではありません。
以下の点を十分考慮しておく必要があります。
会社の役員報酬額は、定款でその支給総額の最高限度額を定めることが義務づけられています。
役員報酬最高限度総額を超える額が支給されると、超過額は経費とはみなされず、法人の課税所得の一部とみなされ課税されます。
また、法人税法では役員報酬が、①職務内容、②会社の収益及び使用人に対する給与の支給状況、 ③同種の事業、同規模の法人の役員の報酬の支給状況、と比較して、適正かどうかを判断されますので報酬の増額については注意しなければなりません。
報酬の増額が臨時株主総会で承認された場合でも、原則的には事業年度開始日までさかのぼっての役員報酬増額は認められません。
あくまでも臨時株主総会が開催された日以降に支払期日が到来する報酬のみが、増額されます。 ただし、定時株主総会において決議された場合には、この役員報酬をさかのぼって増額することは可能です。
役員報酬の支給限度額の増額改定の決議は、通常の場合、定時株主総会等によって行われます。
どの会社でも定時株主総会は、一般的に事業年度の開始の日から2~3カ月後に開催されるため、定時株主総会時に期首まで遡って増額支給することにすれば、その決議に基づく2~3か月分の遡及増額分の差額支給額は、役員報酬として損金として参入できます。
(おことわり)著者は銀行員上がりで世間の方々より若干税金に詳しい程度です。調べたうえでブログ記事を書いていますが、日本の税金制度は毎年変わりますし、税務署の解釈が異なる場合もあります。このブログの記事だけを頼りにせず、必ずあなたの顧問税理士に確認を取ったうえで、もしくは税務署が主催している相談会などで確認をしてください。
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きょうもここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
あなたの不動産投資事業が成功することをお祈りしております。
トランクルーム大家より。