法人との間で借入れ、貸付けをするメリット |vol.415

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借入れ、貸付けで節税?

中小企業の決算書では銀行借入金の他に、社長からの借入金・貸付金の項目をよく目にしますね。一時的な都合や決算対策の入出金を付金や借入金に振り替えているようですが、実は会社との金銭貸借は節税に意外な効果があるのです。貸付け、借入れ、それぞれの場合に分けて活用例を見ていきましょう。

社長→法人への貸付け

まず、社長から法人へ貸付を行う場合です。これを勘定科目から役員借入金と呼びます。例えば、社長が法人へ1000万円を金利2%で貸すとします。法人は20万円の費用計上(支払利息)、社長は20万円の雑所得となります。(会社から社長への利息は利子所得ではなく雑所得になるので気をつけましょう。)ただし、1) 1ヵ所からの給与所得者でかつ、2) 給与所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下の場合には確定申告が不要になり、この20万円は実質非課税となります。ただし、給与が2000万円を超えて確定申告が必要となったときには課税対象となってしまうので注意が必要です。(なので、利息が20万円以内になることがポイント。)

金利ゼロの場合は?

また、金利0%で会社へ貸し付ける場合はどうでしょうか。会社の業績が厳しい中小企業では金利を支払うこと自体が難しいのが現実ですし、最近では、ペイオフ対策として社長のお金を会社の預金として預けてしまうケースもよく見られるようです。実は、これらの無利息貸付けを節税につなげることもできるのです。

社長が個人で銀行預金をすると、低金利とはいっても金利がつく上に、その金利からは20%が源泉徴収されます。会社が赤字で法人税が課されていない場合は、社長は預金をせずに会社に貸付けをしてみましょう。すると、個人預金とは異なり、会社の預金の受取利息は赤字部分と相殺されます。つまり、預金であれば源泉徴収されていた部分が戻ってくることになります。 たいした金額ではないように思えますが、1億円超の個人預金を担保に銀行から借入れをしている場合はどうでしょうか。将来的に金利が上がった場合には意味が出てきそうですね。このようなケースでは、会社に個人貸付を行い、銀行借り入れを返済してしまった方が節税になり、資金繰りの観点からもよいと言えそうです。

法人→社長への貸付け

逆に、法人から社長への貸付はどうでしょうか。これは役員貸付金と呼ばれ一時的な役員報酬の代わりとして使われるケースが多くあります。例えば、社長が法人から500万円の借入れをしたとしましょう。このとき、会社の決算書には500万円が貸付金として記帳されます。会社の信用力が高ければ、社長個人で借入れをするよりも金利は安く済みますし、同じ金利で法人から社長へ貸付けることができます。もし、社長個人が高い金利で借入れてしまうと、利息支払いのために役員報酬を増やさなければならず、社長の所得と税金が増えてしまうことになりかねません。

また、役員貸付金により自己資本比率が50%未満になると留保金課税が適用されなくなるというメリットもあります。ただし、住宅取得のための会社からの借入金は住宅取得等特別控除の対象にならないといった規定もあり注意が必要です。また、役員貸付金、役員借入金のどちらも社長の私的な理由と解釈されてしまうことが多いため、金融機関の印象が悪くなるといったデメリットにも目を向ける必要がありますので、ケースバイケースで活用しましょう。

(おことわり)著者は銀行員上がりで世間の方々より若干税金に詳しい程度です。調べたうえでブログ記事を書いていますが、日本の税金制度は毎年変わりますし、税務署の解釈が異なる場合もあります。このブログの記事だけを頼りにせず、必ずあなたの顧問税理士に確認を取ったうえで、もしくは税務署が主催している相談会などで確認をしてください。

きょうもここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
あなたの不動産投資事業が成功することをお祈りしております。
トランクルーム大家より。