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前回は都市部でも地方でもできる節税策として、広大地認定を得る方法をお話ししました。
今日は、土地を貸すことでできる節税方法についてです。
貸宅地の評価減には借地借家法が関係している
相続税対策としてアパートを建てる方も多いことからご存知の方も多いと思いますが、他人に貸している土地(貸宅地)と自分が使用している土地(自用地)では評価が違います。
貸宅地と自用地では、他人に貸している土地(貸宅地)のほうが評価が低くなります。
つまり納税額計算時に適用される評価額が下がりますから、納税額が減ることになります。
ではなぜ他人に貸している土地のほうが自用地よりも評価が低いのでしょうか?
借主の権利が「借地借家法」で守られているため、貸宅地は、自分の土地であっても自由に処分できません。
こういった理由もあって、貸宅地は自用地と比較すると評価額が下がるのです。
ちなみに、トランクルームは借地借家法の適用外ですが、自分の土地に建物を建てて貸しているので、こちらも相続税の評価減の対象となります。
つまり、他人に貸している土地は、自ら使用している土地に比べると相続税評価額は低くなるのです。
なお、貸宅地は借地権の設定があって、実際に建物の敷地になっているものが対象となります。
宅地を貸していても、借地権の設定がないものは貸宅地とはいえず、評価減の対象にはなりません。
(おことわり)著者は銀行員上がりで世間の方々より若干税金に詳しい程度です。調べたうえでブログ記事を書いていますが、日本の税金制度は毎年変わりますし、税務署の解釈が異なる場合もあります。このブログの記事だけを頼りにせず、必ずあなたの顧問税理士に確認を取ったうえで、もしくは税務署が主催している相談会などで確認をしてください。
貸宅地の評価がいくら減額になるのかは、路線価図を見ればわかります。
路線価の金額に続いてアルファベットが記載してありますが、これが貸宅地として評価する際の減額割合を表しています。
借地権割合は、路線価図の路線価の数字のあとのアルファベットで表示されていて、「2070B」 「1070C」などと表記されていますが、数字が路線価で単位は千円です。
「2070B」と表記されている道路に接道している土地の評価額は1平方メートル当たり2070千円、つまり207万円。東京駅前などで見かける地価ですね。
「1070C」と表記されている道路に接道している土地の評価額は1平方メートル当たり1070千円、つまり107万円。東京都心では当たり前に見かける地価です。
そして、アルファベットが借地権割合を示しています。
借地権割合は、 A=90% 、B=80%、C=70%、D=60%、E=50% 、F=40% 、G=30%となっています。
借地権割合とは、文字どおりその宅地における借地権の占める割合のことです。
借地権割合が60%であれば、その宅地の評価のうち60%は借地権の評価額になるということですから、貸宅地の相続税評価額は自用地の40%となります。
(例)路線価107万円/㎡、地積100㎡、借地権割合70%(C)である場合の借地権の相続税評価額
⇒107万円×100㎡×70%=7,490万円
自用地とは自分で所有していて自ら使用している土地のことで、貸宅地はそこから借地権割合の分だけ評価額が低くなります。
なお、自用地としての評価分を「底地割合」といいます。
自用地の上に借地権が設定されている場合、上に借地権という権利が膜のように土地に覆いかぶさっているようなイメージですね。
その下にあるというわけで、「底地」と呼ばれます。
借地権割合残りの部分なので、底地割合は(1-借地権割合)で計算できます。
借地権が設定されている自用地の底地部分の相続税評価額は、次の計算式で求めます。
貸宅地の評価額=自用地としての評価額×(1-借地権割合)
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定期借地権は年数が長いほど減額幅が大きくなる
借地借家法で借主の権利が手厚く保護されています。
戦中戦後を通じて制定された法律のため、現代の日本では借主の権利を保護しすぎで時代に合っていないという批判が増え、実際に様々な間題が出てきたことから、定期借地権という制度が設けられました。
定期借地権は、契約によって一定期間が経過すれば、借地権は消滅するというものです。
たとえば、宅地を30年の契約で貸したとすると、従来の借地権では自動継続となっていました。
しかし、定期借地権制度では契約期間が満了となったら、貸した土地は更地になって戻ってくるのです。
定期借地権には次の3つがあります。
① 「一般定期借地権」
契約期間が50年以上で、期間が満了になればどのような事情があっても借地権が消滅する
② 「建物譲渡特約付借地権」
契約期間が30年以上で、期間満了の時点で地主が借地人から相当の対価で建物の譲渡を受けることによって借地権が消滅する
③ 「事業用定期借地権」
契約期間が10年以上50年未満で、専ら事業用の建物所有を目的として居住用の事業に供することを認めない
一般定期借地権は、契約更新や期間延長がなく、期間満了後は必ず土地が更地となって戻ってくることから、貸し出しに向いていますが、契約期間がかなり長期のため、将来的に土地活用を考える人には向いていないと言えるでしょう。
建物譲渡特約付借地権は、借地権の存続期間が30年以上で、期間が満了したら地主が借地人から建物を買い取ることで権利が消滅します。
一般定期借地権よりは契約期間が短いのですが、土地所有者が建物を買い取らなければなりませんので、その点がデメリットとなります。
事業用定期借地権は、事業のために土地を賃貸借します。期間は10年以上と短く設定できるので、当面使う予定がない土地や、子どもや孫に家を建てさせたい場合などに向いています。
いずれの定期借地権も相続税の節税になります。
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きょうもここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
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