法人保険加入前に解約返戻金の使途を決める その2 | vol.357

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具体的な「出口戦略」 ③~⑥


前回のブログでは、法人保険における解約返戻金の使い道について、「保険に再加入 ・再投資をする」という方法と「経営者の勇退退職金に利用する」という方法についてご紹介しましたが、今回はその他の使い道をご紹介します。

③設備に投資して、減価償却制度を活用する

解約返戻金を会社の設備投資に使うのも有効な方法です。
具体的には、社内事務所をリフォームする、外壁を新しくするといった使い道が考えられます。医療法人であれば、医療設備機器を購入するといった使い方もよく見られます。
医療機器の場合は特例で多めに減価償却できるため、 1年で設備投資額の1/2程度を経費として計上することも可能です。

たくさんの設備を新しくするタイミングに合わせた保険契約プランを事前に計画していたのなら問題ありませんが、設備投資がそれほど必要でない時期に解約する場合は、法人保険を一部解約するという方法もあります。
具体的な例をあげると、「1億円の解約返戻金があるけど、1,000万円分の解約返戻金が受け取れるように保険を一部解約して、1,000万円を設備に投資する」といった考え方です。
一度に全部解約すると、解約返戻金全額が課税対象になってしまうので、このような部分的な解約をする方法も一つの有効な方法です。

④ES向上や人材確保を目的とした人件費として使う

解約返戻金を人件費として使うことは、長期的に見れば会社の発展につながります。
解約返戻金を従業員の賞与として使えば、原則として全額が経費になるとともに、社員の士
気が上がります。
賞与でなくても、社員旅行などの従業員の福利厚生費として使うことにより、福利厚生の充実が人材確保にダイレクトにつながります。

⑤収益を生むための広告宣伝費として利用

解約返戻金を広告宣伝費に充当するのも、更なる収益を期待できる使い方の1つです。
たとえば、会社のホームページを新しくすることで、企業イメージの向上や、ストロングポイントをアピールすることができます。
ホームページの制作費は、相応のクオリティを求めると費用もそれなりにかかりますが、これは原則全額経費に計上することができます。

⑥既存資産を活かして損金をつくる

前回、今回とご紹介した①から⑤の使い道は、解約返戻金で何かを購入する、投資するという方法、つまり経費を使って節税する方法でした。

しかし、経費を使わない方法もあります。
貸倒損失や固定資産の除去損、棚却資産の評価損など、既存資産を活かして損金を作る方法です。
「貸倒損失」とは、貸したお金や、モノやサービスの報酬が受け取れなかった際に計上する勘定科目のことを指します。
たとえば「取引先に貸した500万円が返済されない」という場合には、この500万円は損金として計上可能です。
また、「固定資産の除去損」とは、不要となった固定資産を除去するときに発生する損失を計上する勘定科目です。
具体的には、機械除去損や車両除去損などがあります。
その他では、在庫の評価を見直し、その評価額が下がった場合は、「棚卸評価損失」として損金計上できます。

他にも、既に加入している法人保険を使用して損金をつくれるケースがあります。
それは、「変額保険」を利用する方法です。
変額保険とは、解約返戻金、満期保険金などの評価額がマーケットの変動などによって変わる保険です。
法人向けの変額保険に加入していて、 その評価額が払込保険料により低くなっていれば、その保険を経営者が自ら買い取ることで、損金に計上することが可能です。
たとえば「1,000万円の保険料を掛け込み、法人名義で加入した変額保険が、現在800万円の価値しかない」という場合、経営者が買い取ることによって200万円の損金をつくることができるのです。

(おことわり)著者は銀行員上がりで世間の方々より若干税金に詳しい程度です。調べたうえでブログ記事を書いていますが、日本の税金制度は毎年変わりますし、税務署の解釈が異なる場合もあります。
このブログの記事だけを頼りにせず、必ずあなたの顧問税理士に確認を取ったうえで、もしくは税務署が主催している相談会などで確認をしてください。



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きょうもここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
あなたの不動産投資事業が成功することをお祈りしております。
トランクルーム大家より。


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