法人保険加入前に解約返戻金の使途を決める その1 |vol.356

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具体的な「出口戦略」 ①~②


今回のブログから法人保険における「出口戦略」つまり、解約返戻金の使い道についてご紹介したいと思います。

前回までのブログでご紹介したとおり、法人保険は加入したとき=入口で保険料を損金として計上することで税金対策が可能になります。
そして、法人保険は、解約するとき=出口で戻ってくる解約返戻金を何にどう使うかを事前に考えておくことによって、さらなるタックスメリットが期待できるのです。

解約返戻金の出口戦略を考えていなければ、解約で得た解約返戻金の全額または一部が純粋な利益とみなされ、黒字であれば、それに対して課税されるので、入口で得た税制優遇効果が目減りしてしまいます。
出口でのタックスメリットを受けられず、入口での節税効果のみを得る掛け捨て型の法人保険であれば話は別ですが、積み立て型の法人保険は解約返戻金の使途、すなわち「出口戦略」について、加入前に十分に検討する必要があります。

それでは、解約返戻金の使途としては、どのような選択肢があるのかご紹介していきましょう。
具体例をあげながらそれぞれのメリットを書いていきます。



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①受け取った解約返戻金で再度法人保険に加入する

これは「保険に再加入 ・再投資をする」という方法です。
「会社の利益が出ているため、その利益を再び損金として計上したい」という会社の選択肢となります。
保障を継続できること、解約返戻金のピークを再加入時点で最も都合のいい時期に移行できることが、メリットとしてあげられます。
再投資は、現在加入している保険を一度にすべて解約して行うのではなく、毎年少しずつ解約して、新しい保険の保険料に充当する方法が一般的です。

②経営者への勇退退職金に利用する

法人保険における解約返戻金の使い道として、で最もポピュラーなものといえば、経営者の勇退退職金といえるでしょう。
預貯金に入れておくと、資金繰りが苦しくなったときに安易に手をつけてしまいますが、保険としてお金を預けていると、保障も兼ねているため、わざわざ解約することによってお金を引き出す、といったことがなくなるため、退職金支給に向けてまとまったお金を準備できます。
退職金原資を損金計上することでより効率的に確保することが可能になるのです。

勇退退職金の受け取り方

勇退退職金の受け取り方には、2つの方法があります。

勇退退職金の受け取り方(1) 現金で受け取る

1つは、解約返戻金のピーク時に保険を解約して、会社から退職する経営者に現金で勇退退職金を支払う方法です。
会社が解約返戻金を受け取るときは、原則解約返戻金からそれまで資産に計上した保険料額を差し引いた金額が法人税等の対象となります(黒字の場合)。
しかし解約の年度内に、経営者に現金で解約返戻金を勇退退職金として支払うと、帳簿上で利益と費用が相殺され、税負担が抑えられるのです。

勇退退職金の受け取り方(2) 名義変更

もう1つ、勇退退職金を現金で支払う以外に、保険契約の名義を変更する選択肢もあります。
たとえば、解約返戻金が1億円の保険の名義を法人から経営者個人に変更し、実質的に1億円の勇退退職金を支払ったことにするのです。
これを「保険の現物支給」といいます。
税金に会計上は現金で支給する方法と同じですが、保険契約自体は継続するという点が異なります。
将来的に、経営者にもしもの事態が起これば遺族が保障を受けられますし、毎年200万円ずつなど部分的に解約すれば、年金のように定期的な収入を得ることもできます。
また、終身保険の場合であれば、解約返戻金がもう少し増えた時点で解約することも一つの方法です。
退職後すぐにまとまったお金を必要としないのであれば、そのまま保有し続けることもできます。

(おことわり)著者は銀行員上がりで世間の方々より若干税金に詳しい程度です。調べたうえでブログ記事を書いていますが、日本の税金制度は毎年変わりますし、税務署の解釈が異なる場合もあります。
このブログの記事だけを頼りにせず、必ずあなたの顧問税理士に確認を取ったうえで、もしくは税務署が主催している相談会などで確認をしてください。



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きょうもここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
あなたの不動産投資事業が成功することをお祈りしております。
トランクルーム大家より。


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