金融機関特有の判断基準。金融機関における物件の評価方法 | vol.341

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一般的な不動産物件価値と金融機関の物件価値は異なる


みなさんが一生懸命自分の希望する物件を探して、ようやく購入したい物件が見つかったとします。
その後、不動産会社の紹介等で金融機関に融資を申し込みに行く訳ですが、一番気になることとしては、まず

  • 自分は融資が受けられるのか?
  • 融資が受けられるとしたらいくらの融資が受けられるのか?

ということではないでしょうか。

そこで、今回のブログでは、金融機関特有の判断基準があることについてご紹介したいと思います。



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一般の人にとっての「いい物件」と、金融機関が考える「いい物件」は違う

まず、知っておいていただきたいのは、一般の人にとっての「いい物件」と、金融機関が考える「いい物件」というのは必ずしも同じではないということです。

例えば、駅から徒歩5分の距離にあり、少し築年数が経ってはいるものの常に満室状態の人気物件だからといって、金融機関が必ず融資を承諾するかというと、そんなことはありません。

銀行の考え方を知る手掛かりは、「ローントゥバリュー」

金融機関は、不動産投資対象物件に対して融資をする際にはローントゥバリュー(以下「LTV」という)という指標を使用します。

LTVとは、融資対象となる物件の評価額と、貸出金額の比率をあらわすもので、不動産の価格に対して負債がどのくらいあるのかを見る指標です。

一般的には以下の式で計算されます。
LTV=「貸出残高」÷「担保評価額」

計算例を紹介しますね。

  • 融資金額100:物件評価額100であれば、LTVは1(計算式 100÷100)
  • 融資金額150:物件評価額100の場合は、LTVは1.5(計算式150÷100)

LTVの値が小さいほど、融資の返済リスクが小さくなります。
逆に、この数値が高ければ高いほどリスクが高いことになります。

LTVは小さいほどデフォルト時に物件を処分して回収できる可能性が高くなるため、金融機関にとっては低リスクの貸出といえます。


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担保評価額の考え方。銀行は「担保掛目」を使っている

金融機関の審査においては、おおむね以下の手順で物件の価値を査定します。

  • 土地であれば路線価(路線価がなければ固定資産税評価)
  • 建物部分は再調達価格で見て、その対象物件に対する一定の比率を掛けた金額

以上を簡易査定と呼んでいる金融機関もあります。
金額が大きい場合は、不動産の価値を査定する専門家である国家資格保有者「不動産鑑定士」に依頼が行く場合もあります。鑑定士に依頼が行く場合は融資の内諾結果が出るまで、通常の融資よりも数週間余計に時間がかかります。

建物部分の査定の際に書ける「一定の比率」は、金融業界用語で「担保掛目」と呼ばれるものです。
中古の不動産物件の場合は、金融機関により担保掛目はことなりますが、基本的には最大でも80%ほどになります。

銀行は融資実行の際、資金源である預金者のみなさまからお預かりしている資金を貸し出しているわけですから、万が一焦げ付いた場合にはきちんと回収できますよ、と示しておくことができる状態で融資を行わなければいけません。

それがないがしろにされている金融機関は検査機関である金融庁や日本銀行から厳しく叱責されることとなります。万が一の担保不足が生じることの無いよう、査定金額に余裕を持たせる意味でこの担保掛目を設定するのです。

融資金額上限の計算例

計算例を紹介しますね。

例えば、購入する物件価格が4,000万円、融資相談に行った銀行さんの担保掛目が80%だった場合ですと、
担保としての価値: 4,000万円×80%=3,200万円となります。
そうなると、自己資金は最低でも800万円必要ということになります。

窓口で「御行の担保掛目は何%ですか?」と聞いても教えてくれません。若手担当者です途端に知らない場合がありますし、ベテラン担当者ですと他行に掛目の情報が流れてしまうと銀行同士でお互いの首を絞めることになるので、過剰な融資を抑制する観点から、表に出ないのです。

とはいえ、何棟か融資申請していくうちに、逆算すると掛目がわかるようになるのですが。

例外もある。新築物件の住宅ローンの場合

ここで、気をつけてほしい案件について少しご紹介します。

中古物件の場合の担保掛目は前述のとおりとなりますが、大手ディベロッパーが手掛ける新築物件の場合は、金融機関と提携しているケースが多く、提携融資商品として特別に90%~95%を借入することができることがあります。

これは新築戸建てや新築マンションなど、住宅ローンを使用する場合によく起こります。

国が住宅ローンを活発にしたいがために、新築物件建設を強く押し進めてきたからかもしれません。
気をつけてほしいことというのは、それだけ融資を受けられるからといって、物件の価値が必ずしも高いということではないということです。

この場合は、物件の価値査定とは別物で考える必要があります。

よく、不動産広告で「利回りのいい出物の新築収益マンション!提携ローンで銀行の融資も90%可能!」「95%可能!」というキャッチフレーズを見かけることがあると思いますが、このセールスに喰いついて「そんなに物件価値があるなら大丈夫」と考えるのは大変危険です。

なぜなら、ディベロッパーと提携している金融機関が、対象物件の担保評価ではなくて、本人の属性に重点を置いて融資しているケースがほとんどです。

「返済に困ってもその家に住み続けるわけなので、借入人の給与から一定割合補填し続けてもらえばそれでよい」というのが住宅ローンの考え方です。

所有権が移転した途端に、別銀行から見ると中古物件になりますから、うえでお話しした担保掛目に基づく物件の担保評価額を査定され、評価が大きく下がってしまう可能性もあります。

そうなると、いざ売却しようとしても、ファイナンスに苦労して、売却損が出てしまうこともあるのです。

トータル的に考えて中古の収益不動産物件であれば、金融機関の担保評価掛目が80%あれば、その物件は市場価値があると考えてもいいでしょう。

きょうもここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
あなたの不動産投資事業が成功することをお祈りしております。
トランクルーム大家より。



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