法人保険の特殊な活用方法 | vol.358

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分割して解約し、利益を調整する


解約返戻金を受け取る法人保険では、前回までのブログでもご紹介したとおり、解約返戻金が課税対象となるために会計上の利益が増加することになります。
この利益増加を適切に調整できなければ、法人税の支払いが増えてしまうため、せっかくのタックスメリットが薄くなってしまいます。
今回のブログでは、法人保険を分割解約することによって利益を調整する方法と、保険の失効という手法を使って解約返戻金を受け取るピークをずらす方法をご紹介します。

契約済みの法人保険を一度に全部を解約するのではなく、「3年目に1,000万円分を解約」「5年目にさらに1,000万円分を解約」など、時期をずらして分割して解約することで、利益の調整が容易にできるようになります。

また、入口の段階で大きな額を1本の法人保険で契約するのではなく、数本に分けて契約する方法もあります。
たとえば、1億円の解約返戻金が戻ってくる法人保険を1本契約するのではなく、2,000万円の解約返戻金が得られる保険に5本加入することで、「この保険は経営者の退職金確保、 この保険は事務所改装資金の確保」といったように、解約返戻金の管理が容易であり、利益調整の面でもこのほうがタックスメリットを享受しやすいです。
また、用途がしっかり決まっていれば、近い将来まとまった額が必要であればピークのある逓増定期保険、先々にお金が必要な場合は長期定期保険、50代経営者の勇退退職金のための長期定期保険の生活障害保障タイプなどと、特徴によって商品を使い分けることも有効な方法です。

さらに、高額の保険を契約すると、大口割引が適用されて保険料が下がったり、返戻金が少し上がったりするケースがあります。
大口割引が適用となる保険金額は、保険会社によって異なるものの、だいたい3,000万円、 5,000万円、7,000万円、1億円という区切りを設けているところが多いようです。
よって、保険加入時前に保障内容だけでなく保険料や解約返戻金の調整額についてもしっかり確認して、利益調整のメリットと比較検討してから契約することが重要です。

(おことわり)著者は銀行員上がりで世間の方々より若干税金に詳しい程度です。調べたうえでブログ記事を書いていますが、日本の税金制度は毎年変わりますし、税務署の解釈が異なる場合もあります。
このブログの記事だけを頼りにせず、必ずあなたの顧問税理士に確認を取ったうえで、もしくは税務署が主催している相談会などで確認をしてください。



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契約失効の手法を活用して解約返戻金のピークをずらす


保険契約の効力がなくなり、保障が受けられなくなることを「失効」といいます。
失効の主な原因は、保険料の不払いです。
支払期日までに保険料の払い込みがなく、さらに一定の支払猶予期間内にも支払いがない場合、保険は失効することになります。
失効することによって、それまでの保障がなくなりますが、解約返戻金だけは回収できます。
本来であれば、契約者にとって不利益な失効を意図的に発生させることで、解約返戻金のピークをずらすことができるのです。

保険料の不払いで契約が失効となったとしても、 即時に契約がなくなるわけではありません。
保険会社によって異なりますが、失効から2~3年の一定期間内であれば、医的の診査を受けて滞納した保険料と所定の手数料を一括して支払うことによって、保険を復活させることができます。
それを逆手にとり、契約から5年目に解約返戻金のピークを迎える法人保険を「将来設計に変更が生じたから、7年目にピーク時の解約返戻金を受け取りたい」となったときには、故意に失効させるのです。
そして失効から2年以内に保険を復活させて、7年目で解約するという手法を使えば、解約返戻金のピークをずらすことが可能になります。
ただし、保険を復活させるまでに病気になったりすると復活できなくなることもあり、意図的な失効という手法にはリスクがあるので、注意が必要となります。
あくまでも、いざというときの 、経済合理性を考えたうえでのイレギュラー手段として認識しておきましょう。

きょうもここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
あなたの不動産投資事業が成功することをお祈りしております。
トランクルーム大家より。



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