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銀行に優良会社と見てもらうための経営計画書のつくりかた その3:定量面の情報提供(続)
優良会社の経営計画書の「資金運用に関する方針」に明記されている内容の定量面の提供について、前回のブログの続きです。
6.無駄な資産を持たず、総資産を圧縮する。
設備投資はお客様が増加する事と、仕事が改善できる事とする。
優良会社は、できるだけ固定資産を持たないようにしています。
本社をはじめ、他の物件もすべて賃貸です。
仮に本社ビルを「毎月100万円」で借りたとします。
この100万円は経費として計上できます。
しかし、土地を購入して本社ビルを建設すると、「経費」ではなく「資産」になります。
資産の返済は売上ではなく利益で行います。
毎月200万円ぐらいの利益がなければ、100万円の返済はできません。
自社ビルを持つと、税金を多く支払わなければならないうえに、資金繰りも忙しくなります。
しかし、賃貸であれば、利益を圧縮できるため、税金は抑えられます。
余分な資産を持たずに、総資産を圧縮することで健全な経営を維持できるのです。
すでに土地や資産を所有しているのであれば、社長が個人会社をつくって、その会社に土地を売却します。
社長個人の所有にして、会社が土地を借りることで、資産だった土地が経費になります。
社長の個人会社には借金は残るので、実質中身は変わりませんが、土地の売却益で土地購入の借入金を返済すると、資産と借入金の両方が減ってバランスシートの圧縮を図ることができます。
総資産圧縮例① ゴルフ会員権
もし、ゴルフ会員権を持っているなら、売却したほうがいいでしょう。
3,000万円で買ったゴルフ会員権の評価が「500万円」に下がっているのであれば、即売却する。
そうすれば、売却損として、2,500万円も利益が圧縮されます。
それを社長個人が500万円で買い戻せばいいのです。
総資産の圧縮例② 1年以上売れなかった在庫
在庫も、「1年以上売れなかった場合」は、即処分する。
1年以上動かない不良在庫は所轄税務署の指導を受けて、備忘価格(1m当たり10円とか、1本10円とか)をつけることが可能です。
すると、資産が圧縮されキャッシュフローが改善されて、同額の負債が減少します。
例えば、工場で新しい機械を5,000万円で購入したとします。
3年後、生産効率が200%の機械が7,000万円で発売されても、「前の機会はまだ買ったばかり」と考え、そのまま使用する方が多いと思います。
しかし、本当は、新しい機械を導入して古い機械を売却するのが正しいのです。
機械の残存価格は除却損で落とすことにより利益が圧縮され、節税になります。
7. 借入金は長期とし、総額を現預金以下にする。
借入れは何億円でも、これ以上の現預金を持っていれば、「実質無借金」になります。
また、長期で借りることにより、急な変化に対応でき、経営は安定します。
同じ額を借入れするなら、短期に比べて長期のほうが毎月の返済額が少なく、計画的に資金を運用できます。
短期資金は、業績が好調なときは銀行も応じてくれますが、悪化すると応じてくれません。
8.定期預金はなるべく解約しない。
定期預金は、満期時にいったん普通預金に戻し、再度、定期預金を作成すると、信用力が上がります。
銀行は、定期預金、特にも法人定期預金の解約を嫌がります。
以前、ある地方銀行に5,000万円の定期預金を持っていたことがありました。
借入れの残高が500万円だったとき、「定期預金を担保にして、お金を4,500万融資してください」と銀行にお願いしたことがあります。
私は、保全がしっかりしているから問題ないと思っていたのですが、銀行の返事はノーでした。であれば、定期預金を解約しようと考え、銀行に解約しに行ったところ、行員に3時間掴まり、解約させてもらえなかったのです。
結局、決して多くない普通預金から一旦500万円を引き出して返済を終わらせ、その後、定期預金を解約してお金をつくりました。
銀行は、それぐらい定期預金の解約に厳しいのです。
よって、満期がきたら 「もう一度作成する」ということが銀行との取引において大切になります。
また、短期借入金は季節資金(賞与など)や納税資金に留めるようにしましょう。
9. 赤字の翌年、目標以上に利益の出た翌年は設備投資は行わない
赤字になった翌年や、急激に利益の出た翌年は、税金と予定納税でお金がかかるので、設備投資は控えるようにしましょう。
以上が、優良会社の経営計画書の「資金運用に関する方針」に明記されている内容になります。
会社経営のご参考にしていただければ幸いです。
きょうもここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
あなたの不動産投資事業が成功することをお祈りしております。
トランクルーム大家より。