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なぜ法人保険が広く活用されているのか
そもそもなぜ企業経営者は法人保険に加入するのでしょう。
それは黒字企業で法人税を納付する必要がある企業さんがいたとして、法人保険を上手に活用することで納税額を減らす効果があるからです。タックス・メリットと呼ばれます。
儲かっている法人が法人保険を使って納税額の減少と万一の際の保障の確保を両立する方法
タックスメリットを享受するための法人保険の活用方法を整理すると、基本的には以下のようになります。
【法人保険の入口効果と出口効果のイージチャート】
① 法人の益金(所得)は放っておくと法人税等を課せられる
↓
② そこで、法人保険に加入するという手続きを通じて、保険会社に資金を預ける
↓
③ すると、法人税を節税できる。そのうえ、当然ながら加入期間中は「保障」もついてくる
↓
④ 何年後かにタイミングを計って解約すると、預けたお金のほとんどが戻ってくる
↓
⑤ この解約返戻金、全部または一部を雑収入として計上する
ポイントは解約返戻金の払いが将来時点だから「課税の繰り延べ」が可能となること
なるべく分かりやすくするために、おおよそのイメージでご紹介しましょう。
法人保険を解約したときには、保険会社からお金が支払われます。
この保険会社から支払われるお金を「解約返戻金」といいます。
解約するタイミングによって解約返戻金の金額は異なります。
(商品によっては、元本が割ることもありますが、そこは万一の保障を買ったと考えると必ずしも損とは言えません)
金額は異なりますが、解約時期を間違えなければ、支払った保険金額に近い金額、またはそれ以上の金額が戻ってきます。
法人保険は安定的に黒字決算を続けるための武器になる
つまり法人保険によって、経営者は法人の利益の一部を保険会社に一時的に預けておき、解約時に商売で稼いだお金を解約返戻金として取り戻すことができるわけです。
そのぶん、利益が減ります。法人の税金は利益に対して課税されますから、納付する税金が減ります。将来保険を解約するときに利益認識しなければならない場合がありますが、リスクだらけの事業会社経営、景気がいいのは今だけかもしれないので、業績が厳しくなった時、赤字転落しそうなときに保険を解約して「益出し」すればよいのです。
銀行融資を活用している事業会社さんであれば、銀行に赤字決算を出すと融資の引き上げや条件悪化の話が持ち込まれます。でも法人保険で今年の利益を未来に移転できれば、そして赤字になりそうな期に保険を解約して益出しできれば、黒字決算を維持できます。
言い換えれば、保険会社は商売で稼いだお金の一部を預ける「銀行」のような役割を果たしているといえるでしょう。
一般の銀行は預金者から預金を集め、企業に貸し出して利息を得て稼ぎ、社員を養います。
保険会社は企業が稼ぎ出した利益の一部を預かり、保険期間中の保障と毎期の利益の平準化機能を企業に提供しています。預かった期間中の保険料を使って投資(株式投資や不動産投資など)を行って稼ぎ、社員を養います。
銀行も保険会社も個人利用者の目線から見た姿と法人利用の目線から見た姿、随分と違うものだとは思いませんか。
法人保険の解約返戻金の返戻率は商品ごとに各社各様、比較が必要
解約返戻金の返戻率は、解約する時期や経過年数、商品によって異なります。
返戻率とは、「支払った保険料に対していくら戻ってくるか」を数字に表したものです。
返戻率が100%ということは、払い込んだ保険料と同じ額が戻ってくることを意味します。
つまり、払い込んだ保険料よりも解約返戻金をプラスにするためには、この返戻率を100%以上で解約する必要があります。
逆に、解約返戻率が低いということは拠出額を大きく割っていることを意味します。
商品によっては、「加入して1年目の返戻率は5%だが、5年目なら95%」というものもあります。
よって、いつ解約するかを加入時にしっかりと計画しておかなければなりません。
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法人保険を理解する2つのキーワード「入口効果」と「出口効果」
ここでキーワードとなるのが、 「入口効果」と「出口効果」 です 。
- ・入口効果:法人保険に加入して、節税メリットや保障を得ること
- ・出口効果:法人保険を解約して、解約返戻金を受け取ったり、自由に資金を引き出したり、 さらには、名義を変更したりすること
法人保険の入口効果とは?
「入口」とは、法人保険に加入することを指します。
入口で享受できるメリットとしては、法人保険に加入することで保険料が損金扱いになり、支払う法人税等の節税につなげることが挙げられます。
法人保険の出口効果とは?
反対に、「出口」は解約することを指します。
出口に享受できるメリットとしては、解約するときに解約返戻金が受け取れることが挙げられます。
法人税率の引き下げにより入口メリットは以前より低下している
かつての法人保険は、出口メリットよりも入口メリットのほうが重視されていました。
平成23年度までは法人税の実効税率が非常に高かったため、法人保険の入口メリットは今以上に大きかったことが理由です。
しかし最近は、法人税率は引き下げ傾向にあります。
歴史的に見て、日本の法人税率は他の先進国に比べて高かったので、国内外の企業が日本から海外に拠点を移すことを防止する意味などもあり、政府は法人税率のさらなる引き下げを検討しているようです。
これは法人にとっては歓迎すべきことですが、法人保険の活用という面から見れば、節税のインパクトが薄くなっている印象は否定できません。
すなわち、節税メリットが薄れ、入口効果が多少減ってきているともいえるでしょう。
そこで、次回のブログでは、法人保険を活用した出口戦略についてご紹介してきたいと思います。
このブログの記事だけを頼りにせず、必ずあなたの顧問税理士に確認を取ったうえで、もしくは税務署が主催している相談会などで確認をしてください。
きょうもここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
あなたの不動産投資事業が成功することをお祈りしております。
トランクルーム大家より。
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