相続税の評価減となる同族会社の自社株 | vol.256

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同族会社における株式の評価方法


前回のブログでは、事業用土地についても一定の条件を満たせば相続税減額の対象となることについてご紹介しましたが、今回のブログでは、相続税の評価減につながる同族会社における自社株の評価方法についてご紹介していきます。

上場株式は公開されているため、その評価額(株価)は毎日変動します。
よって、相続税評価額は以下の4つの評価額のうち、最も低い金額で評価することになっています。

なお、以下の4条件に出てくる「課税時期」とは、被相続人が死亡した日のことを指します。

  1. 課税時期の最終価格
  2. 課税時期の月における毎日の最終価格の平均額
  3. 課税時期の月の前月における毎日の最終価格の平均額
  4. 課税時期の月の前々月における毎日の最終価格の平均額

よって、被相続人が死亡した日の終値か、死亡した月を含めて3ヵ月まで遡り、月ごとの最終価格の平均額のうち最も低い金額で評価することが可能になっています。

毎日の最終価格(終値)は、新聞の株式欄やインターネットで確認できます。
月平均額については、証券会社に問い合わせて確認することもできると思います。

非上場株式は証券取引所で取引されるわけではないので、取引価格はありません。
よって、非上場株式のことを取引相場のない株式といわれます。
取引相場のない株式の評価方法は、上場株式に比較すると少しややこしくて、定められたルールに従って評価することになっています。
同族会社の株式は以下の3つのいずれかの方法によって評価します。
1.類似業種比準方式
2.純資産価額方式
3.配当還元方式
1と2を「原則的評価方法」、3を「特例的評価方法」といいます。

どの方法で評価するのかは、会社の規模や株主の持株比率、株主の議決権比率などをもとに判断します。

同族会社であっても、会社の支配権を持っていない少数株主が保有する株式は、「配当還元方式」で評価することになっています。
理由は、会社の経営支配権を目的とした株式の保有ではないと判断されるためです。

そして、これは会社の規模が大きかろうが小さかろうが規模に関係なく適用されます。
配当還元方式は、配当金から株価を算出する方法です。

同族会社では配当が低かったり、配当そのものがない場合もあるので、一般的にこの方式では株式評価額は相当低くなります。


(おことわり)著者は銀行員上がりで世間の方々より若干税金に詳しい程度です。調べたうえでブログ記事を書いていますが、日本の税金制度は毎年変わりますし、税務署の解釈が異なる場合もあります。このブログの記事だけを頼りにせず、必ずあなたの顧問税理士に確認を取ったうえで、もしくは税務署が主催している相談会などで確認をしてください。




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会社の規模によって評価方法が異なる


相続人が同族株主の場合は以下の方式を使用します。

類似業種比準方式は、その会社の内容と類似する上場会社の株価をもとに、㋐1株あたりの配当金額、㋑年利益金額、㋒帳簿価額による純資産価額の3つの要素を比較して比準割合を求めます。

次に、類似業種の上場会社の株価に上記で求めた比準割合をかけて評価額を算出します。
ここで使われる株価は、国税庁が発表する「類似業種比準価額計算上の業種別株価」です。
これは国税庁のホームページで確認可能です。

純資産価額方式は、会社の持っている資産を相続税評価額に評価替えをし、その合計から負債の合計額を差し引いて純資産を求め、その純資産を発行済み株式数で割って株価を計算します。なお、自己株式分は株式数には含めません。

貸借対照表の「資産の部」には、土地や有価証券の評価額は取得時の評価額が計上されおり、時価評価とは大きく違う数字が計上されています。
しかし、相続税評価額に評価替えした資産は時価評価になるので、資産に含み益が多い場合は、株式の評価額は高くなります。
大会社は類似業種比準価額と純資産価額のいずれか低い金額を評価額としますが、中小企業は類似業種比準方式と純資産価額方式を併用して評価額を算出します。
なお、併用割合は会社の規模によって異なります。


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