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実質金利の仕組みがわかっていないと損をする
仮に銀行から借入れする際の金利を低くできたとしても、借りたお金の一部を「定期預金」にしていると、実質金利は高くなります。
実質金利:実際に支払う金利のこと。実質的な金利負担を実質的な借入残高で割れることで計算できます。
ひと昔前までは銀行には、「歩積両建(ぶづみりょうだて)」というものがありました。
「歩積両建」貸したお金の一部を定期預金として預けさせる仕組みです。
銀行の地位が今より高く、その優越的地位を乱用して企業に不要な預金をさせるもので、預金残高が銀行の体力を測る素朴な時代に横行した、昭和の時代に横行していた手法です。
現在は「銀行の優越的地位の濫用(らんよう、みだりに用いること)」を抑制する観点から禁止されています。それでも銀行は「貸出金利を低くするので、そのかわり定期預金を作成してほしい」と直接言葉にしないで、それを匂わすことがあります。
定期預金の年利は、借入の金利よりも低いので、実際の金利は高くなるのですが、このカラクリに気づいていない社長は少なくありません。
定期預金を預け入れることにより実質金利が高くなるしくみを理解しよう
定期預金を預け入れることにより実質金利が高くなるしくみは、以下のようなカラクリです。
例題
2,000万円(年利3%)を借り入れた。
そのうち1,000万円(年利0.1%)を定期預金として預けた。
この場合の実質金利を計算するとこうなります。
借入金として実際に使えるお金は
2,000万円 - 1,000万円 = 1,000万円。
銀行に支払う1年間の借入金利息は
2,000万円 × 3% = 60万円。
銀行から受け取る1年間の定期預金利息は
1,000万円 × 0.1% = 1万円。
実質的な1年間の借入金利息は
60万円 - 1万円 = 59万円。
実質的な借入金利は
59万円 ÷ 1,000万円 = 5.9%。
「年利3%で2千万円借りたぞ!」と思っていたのですが、実質的に利用可能な金額は1千万円。
一方で利息は総額の2千万円にかかりますし、現在は預金をしても超低金利時代。ほとんど利息が付きません。実質的に1千万円を金利5.9%で借りているのと同じわけですね。
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定期預金は1本にまとめず、何本かに分けておく
定期預金を作成する場合は、「何本かに分けておく」のが基本です。
1円を定期預金として預け入れるのであれば、「1億円を1本の定期預金」にまとめるという会社が多いと思います。
そのほうが手間は省けるし、大口かつ長期で預ければ利率が高いからです。
しかし、定期預金を1本にまとめると、損をすることになります。
運転資金が不足して、「2,500万円」を借りる際、「1億円の定期預金」を担保とするとします。
すると無知な社長は、こう考えます。
「1億円を担保にしているのだから、あと7,500万円借りられる」
しかし、この1億円は銀行に拘束されているため、2,500万円の担保価値しかないのです。
つまり、7,500万円借りることはできません。
よって、1億円を定期預金にするときは、「1億円1本」にすることはおすすめできません。
「2,500万円×4本の定期預金」 に分けるほうが得策です。
そうすることで、1本を担保に差し出しても、残りの3本は自由に使うことができますし、追加で資金が必要になったら、残りの定期預金を担保にしてお金を借りることも可能です。
また、会社の財務内容にもよりますが、2,500万円の定期預金を担保にすれば、5,000万円~6,000万円くらいまで借りることも可能です。
銀行との交渉経験が足りない社長と銀行を知り尽くしている社長では、同じことをやっていても、結果は大きな差となって表れます。
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新規取引銀行と既取引銀行を競争させて、自社に有利な条件を引き出す
全く取引のなかった銀行が飛び込み営業に来ることがあります。
このとき、借入れの予定がなかったとしても、話も聞かずに追い返してはいけません。
飛び込み営業といっても、銀行はあてもなくやって来るわけではありません。
銀行には、新規見込み先の調査セクションがあり、「この会社なら貸しても大丈夫だ」とおおよそ検討をつけたうえで営業してきます。
ですから、むやみやたらに追い返すのではなく、よく話を聞いて、最後に「融資の提案書」(融資額、期間、金利、 担保などの条件)の提示を依頼します。
提案書を受け取ったら、今度は、既取引銀行にそれを渡します。
新規取引銀行と既取引銀行を競わせるためです。
新規取引銀行は、「取引をしたい」という思いから、金利を下げるなどの良い条件を提示してくることが多いです。
新規取引銀行からの提案書を渡す際は、既取引銀行の担当者にこう言います。
「〇〇銀行が来て、こういう提案書を置いていったのですが、どうしたらいいですか?」
すると担当者は、「うちが(その提案書よりもいい条件で)貸そう」と考えます。
なぜなら、他の銀行が貸すつもりなのにメイン行が貸し渋れば、お客様に逃げられてしまうからです。
銀行同士を競わせると、「心証を悪くするのではないか」「担当者を怒らせてしまうのではないか」と不安に思う社長がいます。
そんなことはありません。
銀行の各支店には営業目標があるため、貸せるものなら貸したい、つまりの稟議を通したいのです。
審査部が、審査を承認するのに迷っているときに、他行からの提案書が稟議書に添付されていれば、「〇〇銀行も貸すと判断したならメイン行であるうちも貸そう」と審査の後押しとなります。
新規の銀行から、「決算書を3期分見せてください」「試算表を見せてください」と言われたら、「貸す気がある」ということです。
きょうもここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
あなたの不動産投資事業が成功することをお祈りしております。
トランクルーム大家より。
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