変額終身保険を活用した資産移転 |vol.363

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変額終身保険のポイントは加入後いかに資産価値を下げるか


前回のブログまででは、逓増定期保険による資産移転についてご紹介してきましたが、変額終身保険による資産シフトもよく行われます。
変額保険には、以前のブログで説明したように、運用する資産等の評価額によって解約返戻金の額が日々変動するという特徴があります。
過去には、「リーマン・ショックの前までは解約返戻金が1億円だったのに、直後には3,000万円にまで下がった」などということも起こりました。

変額終身保険を取り扱う保険会社は多いわけではなく、商品自体の種類も決して多いとはいえない状況ですが、中には運用する資産を契約者自身が自由に選択できるものもあります。
たとえば、「日本株型の投資信託を30%、外国株式型を30%、外国債券型を30%、先進国株式型を10%」といった具合に、運用先を設定できるのです。
申込時点で選択・決定できるだけでなく、途中で自由に変更することも可能です。
この保険を活用する場合は、最初に法人名義で契約し、何に投資をするのかポートフォリオを決定します。

このときのポイントは、「値下がりするようなポートフォリオを組むこと」です。
値動きの激しい新興国の資産や、株式型の投資信託の組み入れ比率を高めれば、ボラティリテイ(変動率)が大きくなり、値下がりしやすい状況が作りやすくなります。
値下がりしやすいものを選択するというのは難しそうに思えるかもしれませんが、値動きが激しいポートフォリオを組むのは、それほど難しくありません。
ただし、リーマン・ショックのような大きな金融危機でも起こらない限り、いきなりファンドの価値が半分になるようなことはないので、値下がりするまでには中長期的な時間がかかる可能性もあります。

予想通り将来大幅に下落したら、その時点で契約者名義を法人から経営者にシフトします。
もし、名義変更のタイミングをずらしたければ、資産価値が低い状態を維持するため、ポートフォリオを国内債券などの価格が安定しているものに変更する方法もあります。
このとき、シフト時に経営者が支払う額は解約返戻金と同額なので、運用成績が悪く資産が目減りしていればいるほど、経営者は安値で保険を買い取ることができるのです。

なお、死亡保障については最低保証があるので、もし3,000万円で買い取ったとしても、1億円の死亡保険金が遺族に支払われることになります。
また、当然ながら名義変更も資産価値は変動しますから、名義変更後に資産価値を回復できることもあります。
私が聞いた話では、当初1億円あった解約返戻金が4,000万円まで下がったものの、名義の変更後、1億2,000万円になったという例もあります。
もちろん、リーマン・ショックとアベノミクスいう特殊な状況という背景はありましたが、変額終身保険を活用した資産シフトでは、最も理想的なケースといえます。



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バブル時に加入した変額終身保険を活用する


経営者の中には、だいぶ昔に加入した変額終身保険をほったらかしにしている人も少なくありません。
変額終身保険はバブル時代にも一大ブームとなり、これを利用した資産シフトによって預金残高が大幅に増えた方もいました。
もし、バブル時に加入した法人名義の変額終身保険を継続して保有しているのであれば、解約返戻金が大幅に減っている可能性があります。
しかし、裏を返せば、この保険を経営者が買い取れば、安価で資産をシフトすることができます。
法人の場合、「利益を上げていても手元に現金がない」というケースがよくあります。
その場合でも法人税等は当然に課されるので、節税を考えなくてはなりません。
法人保険は一般的に、法人が保険料を支払い、その保険料を損金に算入することでタックスメリットを得られるため、資金の少ない法人はこの方法を使いにくいのですが、既に加入している保険を活用するのであれば、新たな資金を必要としなくても、節税することが可能になります。

このように、含み損のある資産を売却することを「損出し」といいます。
損出しを行うと、法人は本業での利益に対してこの損失を計上できるため、利益が圧縮されます。
つまり、節税できて、さらに経営者の資産を増やすことができるのです。

また、加入している保険の価値が買値よりも大幅に下落し、解約したくても売ることができずに保有し続ける状態を、株式投資などと同様に「塩漬け」といいます。
経営者が買い取った後もすぐに解約返戻金の返戻率が回復するとは限らないので、現金化はせずにそのまま保険(一生涯の死亡保障)として持っておくことをおすすめします。

保険料を支払い続けるのが厳しい場合は 「払済保険」 にすることもできます。
たとえ返戻率が回復せず解約返戻金の額が減っているとしても、経営者に万が一のときの保険金が減額されているわけではありません。
この点を誤解される方が多いのですが、解約返戻金は解約したときに支払われるお金であり、死亡保険金は被保険者の死亡時などに支払われるお金です。
この2つは同額ではありません。
よって、保険として「本来の保障」というために解約せずに、 そのまま保有しておくことで、経営者は家族への保障を割安で手に入れられることになります。

(おことわり)著者は銀行員上がりで世間の方々より若干税金に詳しい程度です。調べたうえでブログ記事を書いていますが、日本の税金制度は毎年変わりますし、税務署の解釈が異なる場合もあります。
このブログの記事だけを頼りにせず、必ずあなたの顧問税理士に確認を取ったうえで、もしくは税務署が主催している相談会などで確認をしてください。


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きょうもここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
あなたの不動産投資事業が成功することをお祈りしております。
トランクルーム大家より。



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