現金が残る不動産投資にするには?法人では使えて個人で使えない税制優遇措置 その1 | vol.331

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法人化における「所得分散」「給与所得控除」という2大メリット


いかに稼げる物件に投資するかを投資家の成功例をもとに書かれた本はたくさん売られています。
しかし、「稼いだお金をいかに減らさないか」について戦略的に書かれた本は、なぜかあまり見当たりません。

その理由のーつとして、個人による不動産投資においては、稼いだお金を減らさないための「タックスメリット」として、あまり効果的なものがないからということがいえます。

その逆で、法人による不動産投資では、使えるタックスメリットが複数あります。
個人であれば、税法上の優遇措置が少ない不動産投資が、法人化することによって、さまざまな税法上のメリットを享受できるようになるということです。
では、その中で、課税所得を使ってキャッシュフローを増やすことができる法人化の2大メリットをご紹介しましょう。

個人では、累進課税制度により、所得が増えるにつれて、実効税率が上がり税額も増加します。
その所得を分散することにより、一人あたりの実効税率を低くすることも法人化による大きなメリットです。
配偶者や家族を役員や社員として、給与を支払うことも法人であればできるのです。

ただし、役員報酬や給与として支給するということは、その支給額に相応しい実態のある「経営責任」や「仕事の役割」を担っていなければなりません。
これは、税務署に過大な報酬や給与として否認されないために大切になる事項ですので、しっかり覚えておきましょう。

次のメリットですが、所得の圧縮効果が大きい「給与所得控除」についてです。
個人では、不動産所得がそのまま課税所得になってしまうにもかかわらず、法人から役員、社員に給与を支払うかたちにすることで、「給与所得控除」が受けられるようになります。
これは、自分の会社から配偶者や親族に給与を支払うことで、法人の会計処理上も給与が経費として計上でき、給料をもらう側でも「給与所得控除」が使えるのです。
このように、稼いだ所得を再分配できるのが法人の大きなメリットなのです。



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法人化すると貯蓄が増える


当然ながら個人事業主は、事業をやめても退職金というものがありません。
配偶者を専従者として退職金を支給したとしても、経費としては認められません。
これが法人の場合は、退職金も不当に高額でなければ経費として認められます。

また、連鎖倒産などを防ぐための資金供給を受けられる点も、法人のメリットの一つです。
これらのセーフティネットを活用するときに、とても有利な制度として利用されているのが、「独立行政法人中小企業基盤整備機構」が運営する中小企業向けの共済制度です。
利用手続きも簡単で、使わないともったいない制度です。
もちろん収益不動産保有会社であっても利用可能です。
個人の場合、事業所得であれば共済掛け金は経費に算入可能ですが、不動産所得の場合には、必要経費として認められません。
一方、法人の場合は、共済掛け金を全額経費として計上可能です。
つまり「経費が貯蓄になる」といっても過言ではありません。
それでは、具体的なケースをご紹介しましょう。

<共済掛け金を利用した退職金支給>
A社は不動産の賃貸事業を7年間行っています。
そしてA杜の役員としてオーナーBさんが毎月30万円の役員報酬を受け取っています。
A社では「経営セーフティ共済」に毎月5万円の掛け金で加入し5年間経過しました。
そしてこのたび、 Bさんは息子のCさんに代表を譲ることに。
そこで、「経営セーフティ共済」を解約してオーナーBさんへの退職金を支給することにしました。
この場合、次のように退職金が支給されます。
・毎月の共済掛け金
月額5万円×12カ月=60万円
・共済加入期間が5年
60万円× 5年間=300万円

5年経過後なので、解約手当金が100%、つまり掛け金の満額300万円が返金され、そのまま退職金として支給することができます。
法人での解約時の解約払戻金は、いったん法人の益金に算入されますが、同時期に退職金を支給することで、その金額を法人の損金として計上可能となります。


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きょうもここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
あなたの不動産投資事業が成功することをお祈りしております。
トランクルーム大家より。


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