優良会社の「資金運用に関する方針」 その1 | vol.394

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銀行に優良会社と見てもらうための経営計画書のつくりかた その1:定性面の提供


私が知っている優良会社の経営計画書には、銀行とのつき合い方を示した方針である「資金運用に関する方針」が明記されていて、全従業員がこの方針を共有しています。

その会社がどのような考え方で銀行とつき合っているのか、銀行との関係を良好にするためにどのようなことを行っているのか、項目ごとにご紹介していきます。

今回のブログでは、定性面をご紹介し、次回以降のブログで定量面をご紹介します。

1.金融機関が長期資金を融資する際に、会社の姿勢を重視しているので、事業年度計画によって定期的に報告を行い、銀行へは3カ月に1回訪問する。

優良会社は、定期的に銀行を訪問して、会社の現状を正直に報告します。
経営計画書には、「事業年度計画」(年間スケジュール)が記されていて、銀行訪問の日程も組み込まれているのです。

2.定量データと定性データを提供し、全面的なサポートを依頼する。

定量データは決算書や試算表から判断できますが、銀行が定性データを知るには会社訪問が最も有効な方法です。
支店長の「近くまで来た」は、「お金を貸したい(もしくは貸していても大丈夫か)」ので、訪問してきたのです。
この会社は、銀行訪問時に時間外労働を減らす取り組みなどの定性情報を報告している。
支店が審査部に稟議書を出すとき、定性情報のある稟議書はしっかりとその会社を訪問し、実査してきた熱意が込められているため、審査においてもプラスになるのです。

3.経営計画発表会を開催して、事業計画を共有する。

経営計画発表会は定性情報が凝縮されている場です。
社長が発表会で伝えたいことと、支店長が知りたいことは異なります。
社長は発表の内容を気にしているが、支店長は会での従業員の接客態度などを見ています。
ある支店長は「経営方針はよくわかっています。今日はそれに対して従業員のみなさんがどのような姿勢でいるのかを見に来ました。」と話していたことがあります。
また、事業計画を共有することで資金需要が把握できるため、融資見込み先として銀行にリストアップしてもらえるという点もあります。

4.月次決算は翌月1日とし、課長職以上が会議で共有し、透明度をアップする。

銀行は融資にあたって、過去の業績や現在の経営状態、事業計画などを審査するのは当然ですが、「経理の透明性」を重要視しています。
いくら業績が良くても、どれほどしっかりした事業計画でも、経理が不透明であれば「これは裏があるな」と判断され、融資に慎重になります。
しかし、会社の透明度を高めておけば、銀行は「この会社は経理がしっかりしているし、不正もないから、融資しても問題ない」と考えます。

この会社の月次決算は、「締め日の翌日」には出る仕組みです。
「締め日の翌日」にしたのは、社員の不正を防ぐためです。
月次決算の数字は、課長職以上が会議で共有します。
数字を共有すれば不正の防止にもなりますし、数字に強くなった社員は、経営者意識を持つようになります。

また、銀行には、借りたお金を正しい資金使途で使っていることを報告します。
社長が私腹を肥やすようなことが絶対にあってはいけません。
以前、別の会社が、銀行に1億円の融資を掛け合った結果、1億5,000万円の融資を受けることができたのですが、「5,000万円も多く借りられた」ことに気を良くした社長は、そのお金で4,000万円もする高級外車を予約したことがありました。
そのことを知った私は呆れ果ててしまい、その会社との取引をお断りするようになりました。

5.金融機関の支店長が来社された際は、すぐに社長ヘ報告する。

社長が不在時に銀行の支店長が来社された際には、すぐに報告を受ける体制を作っており、報告を受けた社長はすぐに支店へ「支店長はいらっしゃいますか」と電話をします。
もちろん支店長は、わが社を訪問されたばかりなので不在ですが、あとで社長からすぐに電話があったことを知った支店長は、「この会社はしっかりしている」と判断します。



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きょうもここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
あなたの不動産投資事業が成功することをお祈りしております。
トランクルーム大家より。