1棟ものアパートへの投資と収支(5)都心の一棟アパートへの投資シミュレーション|vol.135

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トランクルーム大家マイクラです。経済的自由の獲得を目指す大家さんの間で一番人気のある、一棟ものアパートへの投資による収支はどのような感じになるのか。前回までは地方物件のお話でした。最善ではないけれど、事前の選択としてはいいというお話でした。今回は、都心の一棟アパートを買ったらどうなるのか、です。

考え方は地方アパートの場合と同じです。地方と都心は地価が段違いに異なりまして、その点が収益性に大きく影響してきます。

ここではよくある例として、一部屋あたり月6万円の家賃が得られる部屋が八室ある物件を参考にしましょう。月収48万円、年収576万円のアパートです。

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地方に比べて都心アパートは地価を反映した分、家賃が若干高いです。

ただし、収益性となると若干、頭の痛い物件となります。いかんせん地価が高いため、底地の価値分物件の価格が上がってしまうのです。収益性を上回る物件価格の上昇があると、全体で見た利回りは下がります。

利回りが下がると、購入資金の大半を融資でまかなおうにも返済計画が成り立ちにくくなります。返済計画を成り立たせるには相応の自己資金の投入が必要となります。

前に説明したシェアハウスなどは都心の低収益率アパートの再生手法として誕生しました。結局のところ運営費がかかりすぎ、ふつうにアパート経営をしていても手取りは変わらないなどという物件が少なくないのですが。

前提条件

アパート(本文とは関係ありません)

アパート(本文とは関係ありません)

表面利回り、運営費控除後利回りのレベル感としては以下のようになります。

表面利回り  8%(物件価格7200万円、満室時年収576万円)
運営費後利回り 6.4%(経費控除後年収460.8万円)

都心では1坪単価で数百万の地域も珍しくありませんので、どうしても物件価格が上がってしまいます。

【返済例の試算】
返済率を見ていきましょう。
先ほどと同様、住宅支援機構の計算ツールを使います。

購入対象の1棟ものアパートは、上の計算例で紹介したものを使います。ここに再掲しておきます。

1棟アパート
構造 木造
築年 22年
満室時年収 576万円(月48万円)
販売価格 7200万円(表面利回り8%)
(運営費・維持管理費を賃料の20%と想定した場合の利回り6.4%)

返済例の試算

借入額は満額の7200万円で申請してみましょう。
読み進めていくとわかりますが、なぜ都心物件だと銀行員が自己資金を要求してきたり、都内のメガバンクが「保有金融資産1億円以上の方しか融資しません」などと言ってくるのか背景がわかると思います。

日本住宅支援機構のローン計算ページに入力していきます。
・商品タイプ 「民間金融機関ローン」
・借入期間 20年
・金利タイプ 全期間固定
・借入金利 2%(途中で金利が下がる設定もできるのですが、保守的な見積もりをしたいので、「引き下げあり」にはチェックしないようにしてください)
・借入金額 7200万円
・返済方法 元利均等
・ボーナス返済、諸費用 ここではとりあえず入力しません(すべて「試算にふくまない」を選択)が、これを読んでいるあなたの状況に応じて入力してもよいでしょう。
・他の住宅ローンとの組み合わせ 他に住宅ローンをお持ちの方の場合は、入れてみてもよいでしょう。ここの試算例ではなしを選択。
・現在の年齢 現在のご年齢を入力してください。入力は任意なので空欄でも構いません。ここでは45歳と入力しました。

試算結果


毎月の支払額が36万4千円、金利と元本を合わせた、20年通しての総支払額が8741万円と表示されました。これが、この物件をローンで購入する際の総返済額となり、20年かけて少しずつ返済していくわけです。

毎月の返済が36万円ほど、これに対して月収は最大48万円です。
地方の木造アパートと比べると、余裕があまりないような気がしますね。数字で確認してみましょう。

余裕度である「返済比率」を計算してみます。
返済比率は、不動産投資を行う際の安定性にかかわる重要なところです。

返済比率の計算


毎月の返済額が364,236円で、年間4,370,832円です。
年間の家賃収入は576万円ですから

家賃収入 576万円
返済額  437万832円(家賃収入に対する比率 76.01%)
運営費  115.2万円(家賃収入に対する比率 20%)
残    22万968円(家賃収入に対する比率 3.99%)
です。

家賃収入に対する比率をそれぞれの金額の横に記載しました。これは、それぞれの金額を家賃収入で割って計算しています。
残額が家賃収入の3.99%!

1室空いたら、金利が上がり始めたら、とても返済を維持できませんよね。
つまり銀行員からすると「借りすぎ」(彼らの視点で言えば貸しすぎで融資審査がOKとならない)のです。

このように、都心のアパートを市場並みの利回りで買っても、借入主体で買ってしまうと破たんリスクが高いのです。事業計画としても成り立っていないことがお分かりになるかと思います。

なお、自己資金を半額の3600万円ほど用意できますと、
返済額 218万5416円(月182,118円、家賃収入に対する比率 37.9%)
となりますので、先ほどご紹介した地方の一棟ものアパート投資とそん色ない、安定性の高い融資案件となります。
半額、すくなくとも3割以上自己資金を出せる方であれば融資審査もOKとなるでしょうね。

都心の銀行が、自己資金半分出せるならであるとか、金融資産1億円以上の方なら検討しますということを言ってきますが、これには以上のようなロジックがあるあめです。


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