逆ハーフタックスプランにおける加入と経理処理の仕方を工夫する |vol.371

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逆ハーフタックスプランを子どもの学資保険代わりに活用する


逆ハーフタックスプランを、資産シフトのためではなく、学資保険の代わりとして利用するケースもあります。
これを多く利用するのは、後継者を必要とする医療法人です。
子どもを医者にするには相当のお金が必要となるので、 その学費を法人契約の養老保険でつくるという手法です。
このとき、保険料払い込み方法を工夫することにより、より効果的になります。

一般的に、養老保険では、満期までの期間が10年であれば、10年間にわたって保険料を支払います。
たとえば、3,000万円の満期保険金とするのであれば、毎年300万円ずつ支払うということになります。
しかし、同じ3,000万円を支払う場合でも、これを3年間ですべて払い込みしてしまい、 その後「払済保険」にすることにより、300万円を10年間支払う方法に比べて、10年後の満期受取金を増やすことも可能です。

ポイントは、当初の保険設計時点では、あくまでも1,000万円を10年間で行うというプランにして、実際には3年目の支払いが終了した時点=保険料を3,000万円支払った時点で、払済保険に契約を変更するということです。
これによって、当初3年間は保険料の全額を経費とし、その後は払済保険に変更して10年目まで放置することで、10年後以降は、満期保険金を通常より多く受け取るプランを作成することができます。
3,000万円の満期金があれば、10年にわたって年に300万円ずつ受け取るということもできますから、医学部生の6年間はその300万円を学費に充当し、その後の4年間は収入が多いとは言えない研修医時代の生活費に充てるという使い方も可能です。

なお、養老保険は、払済保険にしても経理処理は行わなくても大丈夫です。
3年間で保険料の全額を損金として計上すれば、残り7年は保険料を支払わずに10年後に満期金が100%戻ってきます。
その満期金を学資にすれば、安定して援助を続けることができるのです。



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貸付金勘定を使って現金支給を減らさない方法とは


逆ハーフタックスプランはとても便利ですが、「保険料分を含めた額で役員報酬を調整されると、現金支給額が減ってしまう」という点に頭を抱える人もいるでしょう。

その解決策を2つご紹介したいと思います。
1つ目は、貸付金勘定を利用する方法です。
本来であれば、役員報酬と保険料を調整して計算するのですが、このスキームでは、帳簿上は給与ではなく「経営者にお金を貸した」ということにして処理を行います。
たとえば、年間500万円の保険料負担があるとしたら、500万円を役員報酬とするのではなく、「役員貸付金500万円が発生した」と処理を行います。
つまり、経営者が会社からお金を借りて保険料を支払う形にするのです。
あとは、経営者は、満期保険金を受け取ったならば、それを返せばいいのです。
そうすることによって、役員報酬の現金支給額が減ることもなく、所得税や社会保険料が高くなることもなく、満期保険金を受け取ることが可能になります。

ただし、役員貸付は経費にはならないので、逆ハーフタックスプランの大きなメリットであ る、「全額損金算入」には該当せず、あくまで「2分の1損金算入」 になるという点には気を付けなければなりません。

また、経営者が法人からお金を借りる場合であっても利息を支払う必要があります。
顧問税理士によって利息は変わりますが、1%とする場合や商事法定利息である5%とする場合もあります。

2つ目の解決策としては、経営者が新たに会社からお金を借りて保険料を支払うのではなく、すでに経営者が会社にお金を貸している場合、会社からお金を返済されたお金で保険料を支払うという方法です。

会社の資金繰りが苦しいときに、経営者が個人のお金を会社に貸し付けるというのはよくあることです。
当然ながら、会社に貸したお金は最終的には精算する必要があります。
帳簿上、経営者に返済する予定のお金を一度に経営者負担分の保険料に充当することで、差し引き精算をするのです。
結果として、会社の借り入れが減るというメリットもあります。

しかし、このケースも保険料は全額損金計上ではなく、 2分の1が損金として計上されます。貸付金勘定を利用した場合と同じように、保険契約上、逆ハーフタックスプランであることに違いはないのですが、お金を移動させただけなので、経費とはみなされないのです。
それでも、逆ハーフタックスプランの一番の目的は、会社のお金を一時所得の優遇税制を利用して経営者個人にシフトすることです。
タックスメリットを得ながら資産シフトするという観点からすると、目的は十分果たしたといえるでしょう。

(おことわり)著者は銀行員上がりで世間の方々より若干税金に詳しい程度です。調べたうえでブログ記事を書いていますが、日本の税金制度は毎年変わりますし、税務署の解釈が異なる場合もあります。
このブログの記事だけを頼りにせず、必ずあなたの顧問税理士に確認を取ったうえで、もしくは税務署が主催している相談会などで確認をしてください。


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きょうもここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
あなたの不動産投資事業が成功することをお祈りしております。
トランクルーム大家より。



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